ヲタクと着ぐるみの中の関係性は、どうあるのがベターなのか
今回はこのブログにしてはちょっと特殊な内容です。
坂本昌行さんは、犬を飼っています。
これはヲタク達なら誰でも知っていることです。
長野博さんは、犬を飼っています。
これもヲタク達はほぼ知っていることでしょう。
ただ、この2つの命題には、大きく異なる点があります。
V6のメンバー・坂本くんは、犬を飼っています。
V6のメンバー・長野くんは、犬を飼っていません。
この二つの違いを、ヲタクはどう扱うべきなの? という話をします。
※この記事は、自分のアイドルとヲタクの距離に対する価値観を整理して、自分はこういう扱いをしていくことにします。という宣言の記事です。「ヲタクはこう扱うべき!だからあなたもしたがって!」という記事ではありません。
※この記事の中で、「パーク内にいるミッキーの中には人がいる」ということを前提とした表現が複数回出てきます。それを表明することは不適切であるという認識はありますが、考えを表明するための題材としてわかりやすく・認知度が高い存在であるために、不躾を承知で使用させていただきます。
この違いはいったいなんなの?
まず、冒頭の命題はヲタク以外には謎でしかないので、そこを解説します。
坂本くんはぺちょちゃんという犬を飼っているということを、インタビューなどで散々話しています。さらに、フライデーでも散歩シーンを撮られています。
つまり、「V6の坂本くん」としても、「V6の坂本くんの中の人である坂本昌行さん」としても、犬を飼っていると言えるでしょう。
一方で、長野くんは犬を飼っているエピソードを語ったことはありません。しかし、明言はしていなくても客観的に見て、犬を飼っていることはほぼ確実でしょう。
このままだと意味不明なヲタクの妄想と捉えかねないので、もう少しわかりやすく説明します。
長野くん自身は、犬を飼っていると言ったことはない。しかし、おそらく長野くん*1と一緒に生活しているであろう人が、犬を飼っていると言っている。あとは察してください。そういうことです。
すなわち、「V6の長野くんの中の人である長野博さん」は犬を飼っているけれど、「V6の長野くん」は犬を飼っていないと言えるのでは? ということです。
アイドルは着ぐるみに過ぎない、それでも。
V6はアイドルの中でも特殊な存在で、「夢を見続けさせてはくれないアイドル」です。
雑誌でイチャイチャしてるかと思えば、「自分たちがイチャつくと売れるっていうからやってる」とのたまってきたり、
コンサートでキスしてる矢先に「これは営業用だ」と言ってくるし、
極め付けが三宅くんによる「テレビの中の人は皆虚像」発言。自然な流れで「僕たち二次元」と表現したこともありますね。
結局は全て、「ファン達が見ているのは、アイドルという着ぐるみ」ということになります。
そうなってくると、テレビやジャニーズWebのブログなど、お茶の間やファンに向けられた情報やメッセージは「V6の情報」であり、週刊誌などで本人が仕事の一つとして提示した訳ではないものは「V6の中の人の情報」として切り分けるべきなのでしょう。
ただし、我々ヲタクがあくまで「V6」のファンだからって、「V6の中の人」のことを認識しなくてもいいかというと、そうではないように思えます。それはアイドルでなくても、テーマパークの着ぐるみだって同じこと。ピーターパンは飛べるけど、ピーターパンの中の人は飛べないので、皆グリーティングでも飛ぶことを強要しないのと近いかな…?「私達が見ている着ぐるみの中には、別の人がいる」という認知自体は、忘れてはいけないものだと思います。
認識は必要。では、接触・考慮は?
「V6の中の人」への接触。プライベート中に声をかけたり、写真を撮ったりすることは、ジャニーズ事務所の場合、写真撮影は事務所がNGを出しています。
でも、接触は対面だけではないです。(ジャニーズ事務所はファンレター以外プレゼントNGなので、例として)長野くんに犬グッズをプレゼントする。これは「V6の長野くん」ではなく、「長野くんの中の人」への贈り物になるのはないでしょうか。何故なら「V6の長野くん」は犬を飼っていないため、犬グッズは不要だからです。
また、犬料理で凄く美味しいレストランが存在して、是非それを長野くんに教えたいと思い、ファンレターで紹介するとします。
その時に、
「長野くんは犬を飼ってるから、犬料理なんて教えられても困るかな?」
とヲタクが考える。それは着ぐるみの中の考慮と言えます。ファンレターは「V6の長野くん」に出している、けれどその内容は「長野くんの中の人」の存在が前提にある。
これらの行動はヲタクとして正しいのか…いやヲタクの行動に正解・不正解なんてないと思うけれど。
「推しがこれからも楽しく活動してもらうためには、どうするのがベターなのか?」という観点で考えていきたいと思います。じゃあまずその推しとはアイドルとしての推しなのか推しの中の人なのかって話になってきますが、ここは思い切って推しの中の人(と少し含まれるアイドルとしての推し)にします。
何故ならアイドルとしての推しの感情は、中の人が作り出すものであり、影響可能なのは中の人だけだからです。ヲタクが何を言ったところで、着ぐるみの感情には直接届かない。中の人が受けて、着ぐるみにそれを反映するだけだと思っているからです。
着ぐるみの中は商売道具であって商品ではない
そもそもアイドルや着ぐるみ稼業は何をもって賃金を得ているのでしょうか?
お金の発生元はCDの売り上げとかパークの入園料ですが、極論で言えば着ぐるみの中に入って、着ぐるみを動かすことで賃金を得ているのではないでしょうか。
私達は着ぐるみに価値を見出してお金を払っているのであって、中身にお金を払っているわけではない。ちょっと表現紛らわしいですね。ミッキーの中の人が着ぐるみ脱いだ状態で踊っても、ヲタク達はそこに価値を見出すことはないって話です。「中の人が踊っている」という状態は同じでも、着ぐるみがなければ意味がないんです。
もう少し厳密に言うと、価値を見出してしまうことはあっても、それは推奨された行為ではないんだろうな、と思います。ディズニーの手下たちのキャストに言及することはマナー違反とされた風潮を見て、そういうことなのかなと思いました。手下好きを公言している人が、そのキャストさんの別現場に行くことど公言することも憚られていたようなので、中身への接触・そして中身に価値を見出すことはNGということなのだろう、という感触です。*2
ケーキ屋さんで買えるのはケーキであって、ケーキを生み出した包丁や、売るために使うショーケースはお金を出しても買えない。私達が出せるお金はケーキを得るためのお金でしかなく、そのお金でケーキ職人を購入したことにはならない。その図式が、着ぐるみ稼業・とくに着ぐるみが目には見えないアイドル稼業ではどうも成り立ちにくいように感じます。
中の人は着ぐるみを厚くしてほしい
中の人への接触は、ケーキ屋さんで「ケーキ職人さんください!」と言ったり「ケーキ買ったから職人さんごと食べますね!」と言うのと同じなのではないか? とここまで書いて感じました。そうなると、中の人への接触はしない方がいい、という結論になります。
ただし、商売道具と商品がくっついているアイドルは、「ケーキだけ食べるつもりだったのに、職人さんも舐めちゃった」になりがちです。アイドルと握手するとき、ヲタクはケーキと握手しているつもりだけど、事実上職人さんとも握手していることになる。
どうやって回避すれば…?と悩んだのですが、ヲタクにできることは、ケーキとくっついていない職人さんには触らない=着ぐるみを脱いでいる・OFF状態のアイドルには接触しないくらいしかないんじゃないかと思いました。
是非、アイドルの方に頑張ってもらいたいんです。
ケーキだけ食べるつもりが職人を食べてしまうことがないように、大きなケーキを作って欲しいんです。
どうか着ぐるみの皮を厚くしてほしい。自分と着ぐるみを同一視しないでほしい。私が投げる言葉も触れるものも、全て着ぐるみに対してであって、貴方ではない。私は着ぐるみが好きなのであって、貴方が好きなわけではない。着ぐるみに対して願望や期待をぶつけるのであって、貴方には何も求めていない。せいぜいこれからも着ぐるみをいい感じに動かしてほしい(ケーキを美味しく作って欲しい)くらいはあるけど。それ以外はどうしようと構わない。私のことなど何も考えず、好きに生きてください。
こう考えてみると、「中の人が今後も楽しく仕事をするには」の答えは、「着ぐるみの皮を厚くするために、ヲタクは何が出来るのか」になりそうです。
中の人と着ぐるみを区別しながらも、中の人を見ないように
着ぐるみの皮を厚くするには、二通りの方法があると思っています。
① 中の人と着ぐるみを分離した目で見る
例:着ぐるみに対して「中の人も体調に気を付けてくださいね」とか言ったり、「私は着ぐるみが好きなだけで、中の人は好きでないよ!」と言ったり。
② 中の人にはまったく目を向けない
例:「この着ぐるみには中の人などいない」という振る舞いをする。
例から見てもわかる通り、①は苦しい。しかも、結局中の人に接触してしまっているので、区別は出来ているけれど本来の目的である「中の人に触らないようにする」が達成出来ていない。
つまり、ヲタクが出来ることは②しかないのでは、と思います。
中に人がいることは、認識しておく。でも、それを徹底的に見ないように、見ることが出来ないかのように振る舞うということです。
ピーターパンに飛ぶことを強要せずとも、「本当は飛べないもんね、だからこちらも求めませんよ」とかわざわざ言わない。
ピーターパンの中身がティンカーベルの中身にパワハラを受けているかもしれなくても、(そういう事実があるかもしれないから、不用意に「これからも二人仲良くしてね」なんて言うのはいけないのでは。。)とか考えない。
考慮した時点で、着ぐるみの中を視認していることが、中の人に認識されてしまう。そしてまた一つ皮が薄くなる。
一番最初のお題に立ち戻ると、坂本くんの犬の話は、坂本くんの目につく場所でガンガンしてもいいと思うし、坂本くんにお勧めの犬のエサ情報とか送ってもいいと思うんです。
でも、長野くんの犬の話はそうではない。アイドル(着ぐるみ)の長野くんが「自分は犬を飼っていない」としている以上、ヲタク達も「犬を飼っていない長野くん」を応援するのが筋で、「犬を飼っている長野くん」は視界に入れるべきでないのでしょう。そういう意味では、この記事もよくない記事だと思います。このブログがV6の長野くんの中の人の目に触れることがないことを祈ります。
最後に
そもそもこんな記事をあげようと思ったのは、ジャニヲタ兼二次元ヲタで長い事生きていると、さまざまなジャンルのヲタク友達が出来るのですが、
その中でもジャンルによって着ぐるみと中身の扱いが全然違うと感じたからです。
中にはファンの目の前で着ぐるみを脱いでしまったり、「着ぐるみの中は辛いんですよ」と言ってしまうようなジャンルもあると聞いております。もしくはケーキ職人が自分自身をショーケースに入れてしまったりとか。
私がそういうジャンルにいたら、出す結論は違っていたかもしれない。
V6はたまたま、本人達も着ぐるみと中身をきっちり分ける人達だから、私も比較的シンプルに答えが出せたんだと思います。
着ぐるみと中身の問題は、ヲタクである以上本当にセンシティブで難しい問題で、正解不正解がないものですが、ヲタクも着ぐるみも中身も「着ぐるみがもっと発展して活躍してほしい」という1つの想いの基で動いているはずなので、せめてその想いは一緒だよと共有出来ればな、と思います。逆に中身が「もう着ぐるみ活躍してほしくない」と思ったらいつでも辞めてほしいですし。。
すべての着ぐるみたちが幸せな日々と幸せな終焉を迎えることを祈るのみです。