ふらっとにのせて

V6担のアラサー社会人によるネタバレ感想ブログ

『戸惑いの惑星』は、多くの戸惑いと小さな魔法の物語だった

戸惑いの惑星(以下TTT)、発表された時から本当に楽しみにしていました。

そして幸運なことにチケットを手に入れることができ、戸惑いの世界に入ることができました。

感想は、一言では言い表せない。語彙力の低下したヲタクだからというのもあるけど、感想を書こうと思いめぐらすと、「いや、こんな見方もある」という別の気持ちが顔を出す。私があの世界に入ってからもう1ヶ月近く経つのに、ずっとあの中で戸惑っているみたい。

井ノ原さんが言っていた通り、「あれはどういう意味だと思う?」と聞いてまわりたい気持ちでいっぱいです。

 

残念ながらNew大久保で一緒にビールを飲んで語れるような友達はいないので、このブログ上で、ヱビスビールを片手に、自分なりの「これはこういう意味だと思った!」を書き綴ろうと思います。

 

※以下、ネタバレまったく配慮していません。

 

 

前提

私は以下の日程で観劇しました。

・1月22日

・1月26日(ソワレ)

いずれもグローブ座公演、席はどちらも1階席前方で、上手側と下手側それぞれで見ました。

2公演の内容の違いは、由利が三池に飲み物を聞くシーンで、「炭酸水と白湯と水のどれがいい?」→「お~いお茶と爽健美茶十六茶どれがいい?」と変わった以外はわかりませんでした。後半のグローブ座公演や、福岡・大阪ではもっと違う変化点があったかもしれません。

考察

物語の時系列

TTTの世界は過去・現在そして小説・現実(手紙の内容含む)・”現実”が入り乱れるので、頭の中で組み立てながら物語を噛みしめる必要があります。

幸い私は2回観劇のチャンスがあったため、2度目は時系列を表すワードはとくに注目して観ていました。

それでまとめたのが以下です。

途中の★は疑問点、☆は明言されていない推測の情報です。

【手紙・小説・現実】高校時代

由利妹:

三池の想いを込めた曲(change your destiny)作曲する
所属していた吹奏楽部の演奏会の演目に由利妹の曲が選ばれる

三池:

趣味でジャズバンドをやっている。そのつながりで吹奏楽部の演奏会を聴きに来る。この曲を気に入り、譜面を手に入れるが、三池はすぐに転校する。

長谷川:

由利妹に惹かれ、彼女が作曲した譜面を手に入れる。(フリューゲルホルンをやっていたのかどうかは不明)
小説家を志す。

由利:

家で母親がスプーンを曲げたことをきっかけに、超常現象に興味を持つ。

【小説】卒業後① ※半年前

三池:

「自分に絵を描いてもらった人に幸運が訪れている」と大学の研究室(小説内では由利)に呼び出され、怒って帰る。

由利:

画家を研究室に呼ぶが、怒鳴られて帰られる。予算が出なかったと教授に報告される。

★上記はあくまで小説内での話。由利と三池は実際には研究室では会っていないと言うが、由利は「まったく同じ経験をしている」と明言。一方、現実の三池が大学に行ったと明言しているシーンはない。
実際に由利が呼び出した画家は三池とは別人で、同じような能力を持っている人が他にいる?

【小説】卒業後② ※半年前~3か月前

長谷川:

小説を157社に持込みし、手紙代行業者を紹介される。三池に会い、そのことを告げると「そんなことしたら幽霊みたいになるぞ」と告げられる。

三池:

似顔絵師として生計を立てる(ただし、それは本人の外面ではなく、三池が本人を見ている内に感じ取った物を描いている)。画家を志しているものの、画家としての絵は描いていない。

★現実の長谷川と三池が実際に会っているかどうかは不明。会っていなくても話の辻褄は合う。

由利:

学会で発表するも反応がよくない

☆このあたりで三池は由利妹とクラブ33で出会っているはず

【小説】卒業後③ ※3か月前

三池:

由利妹の絵を描く。鬼のような絵を描き、それを見た由利妹に立ち去られてしまう。

長谷川:手紙代行者として働くが、だんだん自分が自分でないような感覚になっていく。由利妹に手紙代筆を依頼される。 
☆このあたりのタイミングで長谷川は3人にメールを出したと思われる

【手紙・小説】卒業後④ ※3か月前~現在

由利妹:

長谷川が書いた手紙を三池に託し、真実を書いた手紙を実家に隠す。

三池:

「あなたの絵で失われていた記憶が戻った。自分の人生を生きるから、もうあなたとはいられない」という趣旨の手紙を三池妹から受け取り、絵が描けなくなる。画家をやめ、塗装業を始める。

【現実】卒業後⑤ ※3か月前~現在

三池・由利・長谷川:

メールで呼び出され、スタジオ33で出会う。
楽器を見つけ、由利妹の曲を吹き、3人ともこの曲を知っていることに驚く。

☆ここで3人は高校以来初めて会ったかのように振る舞っている。
 この出会いをきっかけに、3人が信仰を深めていったと現実ではなっている。

【"現実"・現実】卒業後⑥ ※3か月前~現在

 坂本・長野・井ノ原:

TTTを開幕。「戸惑い」について語る。クラブ33の話や、人の運命は決まっているのではという話、宇宙には端っこがあるという話が出る。

☆語っていく内に段々と三池由利長谷川になっていく。しかし、三池が祈ったり、由利が猪突猛進なこともないため、三池由利でも坂本長野でもない存在がいる。⇒全てひっくるめて長谷川の病気が生み出したもの?

☆「坂本くん」「長野くん」と名前を読んだり、「よくアルタの近くの占い並んでたよね*1」「猪突猛進な性格じゃないじゃん!*2」と本人達の出来事や性格に言及している発言をしているのは井ノ原のみ。最初から坂本長野でなかった可能性もある。(ただし、井ノ原からの声掛けに素直に応答していることや、「戸惑いの惑星へようこそ」と坂本が発言しているから、その可能性は低いか)

長谷川:

人格喪失症が進行していることを三池・由利に打ち明ける。

☆フラつく長谷川を見て、妹が病気で亡くなったばかりにしては由利が落ち着いているので、由利妹が亡くなるのはこの後と思われる。

【小説】卒業後⑦ ※由利妹死亡から49日 かつ 物語の前日

由利:

母のスプーン曲げがインチキだったと告げられる。超常現象を研究していた理由である妹の存在と母の経験両方を失い、辞表を提出する。

☆次の時系列の発言を見るに、この段階で、既に長谷川は入院している。

【現実】現在

三池由利:

長谷川の病室に訪れ、小説を読み始める。

【小説】現在

三池由利:

クラブ33で再会する。尚、この三池由利は卒業後①で出会っている二人。

【???】現在

ジャズクラブ33に迷い込んだ3人
由利曰く 「長谷川の小説に迷い込んだ」 長谷川の小説が白紙になっている(長谷川の小説の中に長谷川の小説は存在できない)
この世界の3人は以下の通り。
三池:

長谷川の小説を読んでいたが、由利とはバーで再会したと思っている(現実と小説が入り混じっている)
由利:

基本的な言動は現実の世界線だが、井ノ原の語った話を把握している(現実と"現実"が入り混じっている)
長谷川:

台詞がないため詳細不明だが、病院の服装なので現実の夢の中での世界線と思われる

オルゴールを聞き、長谷川がこの世界に託した手紙を読む。由利妹と三池の関係を伝える。
由利は妹が自宅に隠した手紙を三池に渡す。手紙には由利妹が幸せだったこと、三池と出会えたことは、運命を変えることが出来たからだと書かれていた。

【現実*3】次の日

三池:

絵を再開することにする。長谷川の似顔絵を、これまでの似顔絵の描き方ではない絵で描く。

☆自分の能力のせいで由利妹が去ったと思い絵を辞めたが、由利妹が幸せだったと言ってくれたため再開? 長谷川の似顔絵を描くだけで、画家を再開するわけではないのかもしれない。

由利:

辞表を撤回する。

☆母はインチキだったが、今回の経験により不思議な経験を体感したため。

長谷川:

三池の絵(普段の絵ではない絵)を見て、「これが自分」と再確認する。

★これが現実とすると、小説のエンディングが書かれていない。三池と由利がバーで再会するまでしか描かれていない?

長谷川の小説はどこまでが真実なのか

ほぼ真実だと思っています。お話を通すために、ある程度の脚色はあるようですが。

現実(小説を読んでいる三池由利)と矛盾しているのは、以下。

・三池が大学に呼び出される(ここは明言されていないだけで、三池が明治大学に行っている可能性あり)

・長谷川と三池がスタジオ33の前に会っている

・由利と三池がスタジオ33の前に会っている

このあたりでしょうか。全て、二人の夢*4や由利妹とは関係のない箇所なので、単に「物語」を成立させるために話を盛ったんだと思います。…話を盛るのは、誰の得意技でしたっけねぇ…?

三池の能力とは?

「似顔絵を描かれると幸せになれる」「その人の未来を描く」「その人の記憶を呼び戻す」など色々表現された三池の似顔絵の能力。

私は、「無意識の能力を発動させる媒体」であり、三池は由利の言う、「無意識で行動すると思い通りのことを発生させることが出来る」ということが得意なのでは、と考えています。

・バイトの似顔絵は、とくに何かを強く思い込んで絵を描くというよりも、対象をじっと見て感じたことを絵にしていた=その人に決められた運命を絵にしていた=未来を描いていた。

・長谷川が手紙代行業をすると言った時、かなり信念を持って「そんなのやったら自分が自分じゃなくなって、幽霊みたいになっちまう」と告げた*5=実際に長谷川は人格喪失病を発症する。

・クラブ33で、「『この扉は現実と繋がる扉』と信じて無意識の下に扉を開ける係」に任命され、その責務を遂行する=由利は三池のこの能力に気付いていたから、三池にやらせた。(単に「係」としたのは、それを告げると三池が嫌がる可能性が高いため。)

このように、そう仮定すると納得のいく展開が多いのです。

そしてこの仮定が正しいとすると、ラストシーンの解釈が大きく変わっていきます。

ラストシーンの意味

ラスト、三池は長谷川の似顔絵を描きます。

描いている途中、それを見た由利は「それはお前の絵じゃない」と言いかけます。

しかし、三池はそれに対し「何も言うな。それを言ったらこの絵は自由を失われる」と言い、絵を完成させます。

そして完成された絵を見て、長谷川は「これが僕だよ」と答え、舞台は幕を下ろします。

 

初回を観終わった後、このシーンに対して私は以下のように解釈しました。

「三池の絵は未来を描いてしまうから、長谷川の病気は今後よくならないから、そんな悲しい未来を長谷川に見せることがないように能力を封印させた」

 

しかし、同行者は以下のように解釈していました。

「三池は未来ではなく、ただただ今の長谷川を描きたかった。だから能力を封印した」

 

それを聞いてなるほど、そういう解釈もあるのか、そっちの方が健全だわーと思ったのですが、その後、三池の能力は「未来を描くこと」でなく「無意識の能力を発動させること」と考えて2回目を観劇したら、以下のように見えました。

「あの時、三池は無意識な状態だった。この絵で長谷川は長谷川を取り戻すことが出来ると信じて絵を描いた。そして絵を見た長谷川は「これが僕だ」と自身を取り戻し、運命を変えることが出来た」

つまり、最後の長谷川は三池の絵で病気が治った。と解釈しています。

そう解釈すると、小説のラストシーンがわからないことも納得がいくのです。

三池⇒絵を再開 由利⇒超常現象の研究を続けていくことを決意 というように、それぞれが希望や夢に抱いていたものにまた向き合おうとしています。長谷川の場合は、それは小説です。2人が前に進んでいくのに、長谷川は小説を劇中で書き終え、病に抗えず物語を終えていくというのはなんとなくすわりが悪いです。

長谷川はこれから、あの小説のラストシーンを書いていくと考えると、凄く自然な大団円になります。

 

また、このシーンはもう一つ、気になる会話があります。

三池が長谷川の絵を描いている時です。

長谷川「前にもこんなことあったよね」

三池「いや、俺がお前を描くのは初めてだ」

長谷川「そうか。あれは、誰だったか・・・」

とても短い会話で、正直なくてもいいような会話です。

さて、それは「誰」だったのでしょうか? 心当たりは何人かいます。

①長谷川は由利妹と自分が混在している

長谷川は由利妹の手紙代行をしているので、割とスムーズに説明がつきます。

ただ、ここで入れる理由が弱い。誰だったかわからなくなってる長谷川が、最後に「これが僕だ」と認識する印象を強くするため?

 

②小説内の長谷川と現実の長谷川が混在している

あくまでも、似顔絵バイトをしている三池と長谷川が出会った話は小説の中の話で、現実とは切り離されるべきものだよ、という最後のネタ晴らしか。

上記で書いた通り、あそこで会ったか会わないかは重要でないし、何よりあの時三池は長谷川の絵を描こうとしただけで、実際に描いていない。

 

実は、この舞台に出てくる登場人物で、

明確に「脚の長いアヒル口おじさんが、二次元体型のタレ目おじさんの似顔絵を描く」が成立している組み合わせは、以下のパターンだけです。

 

③長谷川は自分と井ノ原快彦を混在している

坂本さんは、以前プライベートでメンバーの似顔絵を描いていた時期があることを、ラジオで話しています。その時に井ノ原さんの描き方も述べていたため、確実に坂本さんは井ノ原さんの似顔絵を描いたことがあります。

こんな、ファンにしかわからないような本当の意味での"現実"を、ラストの重要なシーンで混ぜることで伝えたいことは何か?

それは、この戸惑いの惑星の中で行われたことは、"現実”と完全に切り離されたものではない。"現実”の世界でだって、運命は変えられるということなのではないでしょうか。

 

終わりに

TTTは、見ている時は色んな世界線が巧妙に入り混じることに戸惑わされ、観終わった後は考えれば考えるほど色んな可能性を思いつく、戸惑いだらけの舞台です。

しかし、物語のラストは小さな奇跡を起こし、私達にまた明日から頑張ろうとそっと背中を押してくれるような舞台でもありました。

まさに、30年近く一緒にいて、決して順風満帆とは言えない時期も乗り越えて、今やジャニーズの技巧派集団と言われるようになったV6のトニセン3人が、今だからこそ出来た舞台だと思います。

いつかのカテコで井ノ原さんが言っていたらしい、「3人でやっているけど、6人でやっているような気持ち」というのはこういうところからきているんじゃないかと思っています。

ライフワークにするとのことなので、また次回のトライアングルツアーも心待ちにしています!

*1:坂本さんのJr.時代の話で、ファンの間ではそこそこ有名なエピソード。

*2:長野さんは井ノ原さん曰く「日本の優しさの基準」であり、周りをよく見る人。また、どちらかというと理論立てながら物事を進める人なので、猪突猛進とは言い難い。

*3:恐らくそうだが、はっきりしていない

*4:三池の画家になりたい・由利の超常現象を明らかにしたい

*5:これは小説の話ですが、三池の能力は小説も現実も変わらないと想定しています。